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オフィシャルブログ

カテゴリー別アーカイブ: 日記

第14回就労支援雑学講座

皆さんこんにちは!
株式会社RELIFE、更新担当の中西です。

 

さて今回は

~喜び~

 

就労支援の現場には、毎日たくさんのドラマがあります。履歴書を初めて書けたとき、面接で笑顔が見えたとき、そして「働けました」と報告をもらったとき
それらの一つひとつが、支援者にとっても深い“喜び”とやりがいとなります。

ここでは、就労支援事業におけるさまざまな喜びを、現場目線でご紹介します。


1. 「できない」が「できた」に変わる瞬間

利用者の中には、長年引きこもっていた方、障害によって働くことをあきらめていた方も少なくありません。
そんな方が、初めて作業に参加し、初めて「自分の力で誰かの役に立った」と実感する。

そのときの「うれしい」という笑顔――それは、支援者にとっても胸を打つ瞬間です。
“人の成長を目の前で見られる”という仕事は、他にそう多くありません。


2. 小さな目標を一緒に達成するよろこび

就労支援では、「いきなり正社員」は目標ではありません。
むしろ、「朝10時に来る」「3日連続で作業を続ける」など、小さな達成の積み重ねが大切です。

その小さな「できた!」を一緒に喜ぶことで、利用者は自己肯定感を少しずつ回復します。
支援者自身も、「一緒に歩んでいる」という実感が喜びとなるのです。


3. 家族や地域の笑顔につながる

ある利用者が「ありがとう、息子が笑顔で帰ってきました」と保護者から言われたとき、
その支援者は涙をこらえながらこう思ったそうです
「就労支援って、本人だけじゃなく家族や地域も元気にできるんだ」と。

「働く」は、単にお金を得る手段ではなく、“つながりを取り戻す”手段でもあるのです。


4. 社会への貢献を実感できる

企業と連携し、利用者が職場に溶け込んでいく姿を見ると、
「この人がいることで会社が少し明るくなった」
「支援の仕組みが社会の一部になっている」と感じられます。

支援者自身が、「社会を支える一員」としての誇りを持てる
これこそが、就労支援事業が長く続く理由かもしれません。


就労支援の仕事は、日々の苦労もあります。
でもその先にあるのは、「人の可能性を信じて支える」ことで得られる、かけがえのない喜びです。

誰かの「働きたい」という願いに寄り添い、「働けた」という希望に変えていく。
それは、誰かの人生を少しずつ、でも確実に変えていく尊い仕事です。

 

 

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第13回就労支援雑学講座

皆さんこんにちは!
株式会社RELIFE、更新担当の中西です。

 

さて今回は

~必要な支援を受けるために~

 

就労支援事業は、ただ「職を紹介する」だけの取り組みではありません。利用者一人ひとりの状況や背景に応じて、“働くまでの道のり”と“働き続ける力”を支える総合的な支援が求められます。ここでは、支援に必要な本質的な要素を体系的に解説します。


1. 利用者理解と信頼関係の構築

● 必要な理由

  • 支援対象者の多くは、過去の失敗や孤独な経験を抱えており、「人を信じること」に慎重になっている

  • 表面的な面談や就労訓練だけでは本質的な変化に結びつかない

● 実践例

  • 毎朝の声かけや日誌の共有を通じた“心の見守り”

  • 成功体験の積み重ねで「できた!」の自信を育てる

  • 担当職員の継続性と温かさが“安心できる場”を生む


2. 柔軟な就労環境の整備

● 必要な理由

  • 一律の勤務形態や評価制度では、多様な事情を抱える利用者に合わない

  • スモールステップを用意することで、負担を減らし継続を可能にする

● 実践例

  • 「週1回2時間勤務からスタート」「昼食づくりだけを担当」など段階的な就労

  • 作業内容の選択肢を複数用意(軽作業、事務補助、屋外作業など)

  • 遅刻や中断があっても「責めない」雰囲気


3. 生活支援との連携

● 必要な理由

  • 生活の不安(住まい・金銭・健康)があると、仕事への集中が難しくなる

  • 就労支援と生活支援を分断すると「働けても暮らせない」状況が続く

● 実践例

  • 自治体・社協・保健師・医療機関との連携体制を整える

  • 「食事支援」や「通院同行」など非就労領域のサポートも視野に

  • 生活保護や住宅確保給付金などの制度活用支援


4. 定着支援とアフターケア

● 必要な理由

  • 就職できても、最初の3ヶ月〜半年で辞めてしまうケースが多い

  • 小さなストレスが積み重なる前に介入することが重要

● 実践例

  • 就職後の定期面談(月1回〜2回)とメール・電話フォロー

  • 企業との連携(職場定着支援員の配置や相談窓口の設置)

  • 利用者が困った時に「戻れる居場所」を確保


5. スタッフの専門性とチーム力

● 必要な理由

  • 支援者自身が「支援の対象」を深く理解し、柔軟に対応する力が不可欠

  • 一人のスタッフがすべてを抱えるのではなく、多職種連携が成果を高める

● 実践例

  • キャリアコンサルタント、精神保健福祉士、社会福祉士などの資格者配置

  • 定期的な事例検討会やメンタルサポート体制

  • チーム内で「困りごとの共有」と「支援方針の統一」を行う


就労支援に必要なのは、「すぐに働かせる力」ではなく「一緒に歩む力」です。目の前の利用者が、心から「働きたい」と思えるまで、寄り添い、支え、導くことが私たちの役割です。

制度やマニュアルに頼るだけでは届かない“人の可能性”を信じる支援こそ、社会をより豊かにする第一歩です。

 

 

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第12回就労支援雑学講座

皆さんこんにちは!
株式会社RELIFE、更新担当の中西です。

 

さて今回は

~社会参画~

 

就労支援」聞くと、多く職業紹介職業訓練思います。しかし、長期無業者ひきり、高齢・障害などによって社会接点われいる人々にとっては、いきなり働くことすぎるハードルです。

そこで近年注目いるが、「社会参画支援」というアプローチです。これは、就労段階ある「社会接点つくる」支援あり、孤立不安から回復、自己肯定構築目的としてます。


1. 社会参画支援か?

社会参画支援は、以下よう活動を通じて、就労困難社会つながり構築する支援です

  • コミュニティ活動(地域イベント、農業ボランティア等)

  • グループワーク(自己表現、話し合い、ゲーム)

  • 居場所支援(サロン、カフェ、フリースペース)

  • 学び直し(読み書き、ICT、生活技術など)

  • アート・スポーツ・表現活動

つまり「働くことに、“居場所”と“役割”取り戻す」こと目的した就労支援です。


2. 社会参画支援対象

  • 長期無業状態ある若年層(例:NEET・ひきり)

  • 精神疾患既往ある

  • 障害者(特に発達障害軽度知的障害)

  • 生活保護受給生活困窮

  • 高齢就労希望

  • 外国人、DV被害者、ひとりなど社会孤立

これらの人々は、自己効力対人スキル低下おり、いきなり職場入ること困難場合多いため、まず「心して通える場」と「承認れる経験」必要です。


3. 制度支援体制

公的支援

  • 生活困窮自立支援制度の「就労準備支援事業」

  • 地域若者サポートステーション(サポステ)

  • 障害福祉サービス生活訓練、自立訓練、地域活動支援センター)

地域・民間・NPO取り組み

  • フリースクール、子ども食堂、若者居場所事業

  • ソーファーム(社会企業)

  • 地域通貨、まちづくり活動、ボランティアセンター連携

これらは「労働市場」ではなく「地域社会」舞台に、が「立てる」「ながれる」体験積むこと可能です。


4. 支援におけるキーポイント

  • 関係形成ない支援が“すぎ”ず、信頼関係ゆっくり築く

  • 小さな成功体験積み重ねゴミいや植物など、シンプル役割から始める

  • 強制しない・せる活動選択肢あり、本人の「ってみたい」基づく

  • 他者から承認感謝言葉自己肯定育てる


5. 就労支援橋渡し

社会参画支援は「ゴール」ではなく、「就労支援向かう橋」役割持ちます。ここ

  • 通所習慣

  • 集団適応スキル

  • 自己表現機会

  • 社会資源アクセス

は、最終就労移行支援、職業訓練、実習参加のきっかけとなります。


就労支援社会参画支援位置づけることは、「働けるだけ支援する」制度から、「少しずつ進める」社会移行するです。孤立てい少しずつて、自分言葉語れるようなる――それこそが、自立第一歩です。

支援者、制度設計者、地域コミュニティそれぞれ役割し、取りない支援仕組み作ることが、これから就労支援未来です。

 

 

 

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第11回就労支援雑学講座

皆さんこんにちは!
株式会社RELIFE、更新担当の中西です。

 

さて今回は

~制度~

ということで、障害者、生活困窮者、ひきり、高齢など多様背景持つ人々支援制度体系解説ます。

 

少子高齢化、雇用多様化、経済格差拡大の現代社会において「働くこと」単なる収入手段ではなく、社会参加・自己実現重要要素です。日本では、就労困難人々支援するため、さまざまな「就労支援制度」整備ています。


1. 就労支援制度基本構造

就労支援主に以下3から成り立ちます

  • 職業紹介・マッチング支援(ハローワーク、ジョブカフェ等)

  • 職業訓練・スキル向上支援(職業能力開発校、民間委託訓練等)

  • 生活支援・就労準備支援(福祉サービス・居場所支援)

これら自治体厚生労働枠組みで、有機連携ています。


2. 対象制度支援内容

1)障害就労支援制度

  • 就労移行支援最大2年間):一般企業就職目指す訓練

  • 就労継続支援A型/B雇用契約あり(A型)/なし(B型)福祉就労

  • 特例子会社制度障害安定雇用目的した企業受け皿

2)生活困窮者・生活保護受給向け

  • 生活困窮自立支援制度

    • 自立相談支援事業

    • 就労準備支援事業

    • 一時生活支援事業

  • 就労自立給付金(就労奨励制度)

    • 生活保護受けながら就労した報奨支援

3)ひきり・長期無業者

  • 地域若者サポートステーション(サポステ)

  • 自立支援プログラム(居場所+ステップ訓練)

  • 就労体験支援(インターン・ボランティア)

4)高齢者・定年退職

  • シルバー人材センター

  • 高齢雇用安定助成

  • 生涯現役支援窓口(ハローワーク)


3. 民間・NPO連携制度今後

就労支援行政だけなく、NPO法人・社会企業・就労支援事業連携不可欠です。例えば:

  • 若者自立塾(現在サポステ統合)

  • 地域共生社会モデル事業

  • 企業障害雇用支援コンサルティング

さらに、近年では「伴走支援」や「機関連携プラットフォーム(就労+福祉+医療)」重要れ、自治体単位包括支援体制進化ています。


4. 現場課題実務対応

  • 支援断続的(短期)なりがち → 継続モニタリング必要

  • ハローワーク連携希薄 → 情報共有枠組み構築重要

  • 支援専門人数不足 → スーパービジョン制度資格取得支援必要

制度生かすは、単なる情報提供だけなく、「利用特性カスタマイズ」求めます。


就労支援制度は、単なる雇用支援とどず、生き方社会つながり構築する重要社会資源です。日本多様制度存在ますが、それら有機組み合わせ、支援の「切れ目」防ぐこと実務見せどころです。

 

 

 

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第10回就労支援雑学講座

皆さんこんにちは!
株式会社RELIFE、更新担当の中西です。

 

さて今回は

~支援計画~

ということで、就労支援における支援計画の意義と作成の流れ、活用のコツを、実際の現場感覚に即して解説していきます♪

 

「働く」を成功させるための、個別最適な道しるべ

就労支援において、支援者の手元に欠かせないものそれが支援計画(個別支援計画)です。

一人ひとり異なる状況、能力、希望を持つ利用者に対して、
「どのような支援を、いつ、どのように提供すべきか?」を明確にし、
本人と支援者が共通の目標をもって就労を目指すための設計図とも言える存在です。


✅ 支援計画とは?目的と役割

支援計画とは、就労支援サービスを利用する方に対して、
個別の課題・目標に応じてどのような支援を行うかを整理し、文章化した計画書のことです。

◯ 支援計画の主な目的

  1. 本人の目標達成(就職・定着)に向けた支援の道筋を示す

  2. 支援内容・頻度・方法を明確にして、支援の質を担保する

  3. 本人と支援者、または多職種との連携・協働のベースになる

  4. 計画的に支援を振り返り、進捗評価・再計画を行う指標になる

📌 単なる“形式的な書類”ではなく、「伴走型支援の地図」として機能させることが重要です。


🗂支援計画作成の流れとポイント

支援計画の質は、「アセスメント→目標設定→計画策定→実施→見直し」という一連の流れの中で高まります。

✅ ステップ① アセスメント(見立て)

  • 面談・観察・作業評価・検査などから、本人の課題と強みを整理

  • 生活面、対人関係、職業スキル、メンタル面の現状を把握

📌 支援は「本人理解」から始まる。アセスメントの質が支援計画の骨格を作ります。


✅ ステップ② 長期目標・短期目標の設定

  • 長期目標(ゴール例):「一般企業への就職」「週5日勤務の定着」など

  • 短期目標(ステップ例):「週3日の通所継続」「電話応対訓練の実施」

📌 短期目標は“小さな成功体験”として積み上げられる内容が理想的。数値化できる目標が望ましい。


✅ ステップ③ 支援内容の具体化

  • 生活支援(体調管理、金銭管理、起床・通所リズム)

  • 職業スキル訓練(PC、軽作業、ビジネスマナー)

  • 対人関係支援(SST、ロールプレイ)

  • 職場体験・実習の計画

  • 就職活動支援(履歴書、面接練習、求人検索)

📌 支援内容は「誰が」「いつ」「どのように」提供するのかを明確にします。


✅ ステップ④ モニタリングと見直し

  • 月1回、または3か月に1回などの頻度で進捗を確認

  • 達成度に応じて、目標の変更・支援の再設計を行う

📌 「書いたら終わり」ではなく、「運用して更新する」ことが支援の質を高めるカギです。


🔍 支援計画に必要な視点とは?

✅ 1. 「本人中心の視点」

  • 計画は支援者の都合で作るものではなく、「本人の希望や目標に基づくこと」が大前提。

  • 面談時に「目標が本人の言葉になっているか?」を確認。

✅ 2. 「達成可能な現実的ステップ」

  • 小さな成功が積み上がることで、モチベーションや自己効力感が高まる。

  • 難易度の高すぎる目標は逆効果に。

✅ 3. 「変化に対応する柔軟性」

  • 体調や状況によって計画通りにいかないことは当然。

  • 見直し・更新を前提とした“開かれた計画”が理想。


📄 支援計画書の構成例(就労移行支援)

項目 内容
基本情報 氏名、利用開始日、支援期間など
長期目標 就職先や働き方のイメージ
短期目標 通所目標、スキル取得など
アセスメント所見 本人の特性、課題、強みなどの記録
支援内容 訓練計画、支援者の対応方針
モニタリング記録 実施状況と見直しの記録欄

📌 就労移行支援、就労継続支援A型・B型、定着支援など、サービスごとにフォーマットは異なりますが、「目標と支援の一貫性」が重要なのは共通です。


✅ 支援計画を“生きたツール”にするには?

  1. 本人との共有を徹底する
     → 計画書を“見せる・説明する・一緒に作る”ことで、納得と意欲につながる。

  2. 多職種連携の場で活用する
     → 支援会議やケース会議で計画書を共有し、チームで支援の一貫性を保つ。

  3. 「できた」を振り返り、成功体験を言語化する
     → 小さな達成を認め合い、次のステップへの自信につなげる。


📝 支援計画は「働く未来」を描く共同作業

就労支援における支援計画は、単なる事務的な文書ではありません。
それは、本人と支援者がともに「どんな働き方を目指すか?」を描き、実現に向かうための“共通の地図”です。

✔ 利用者にとっては「希望を形にする設計図」
✔ 支援者にとっては「支援の方向性を見失わないための道しるべ」

だからこそ、丁寧に、柔軟に、そして実践的に。
一緒に計画を作り、一緒に支援を積み上げていく姿勢が、何よりも大切です。


📋 支援計画のチェックリスト(支援者向け)

項目 確認ポイント
本人の意向が反映されているか 面談で共有・納得を得ているか
目標は具体的・測定可能か 短期目標は数値化・行動化されているか
支援内容は現実的か 提供できる資源・訓練内容と合っているか
定期的に見直しされているか モニタリング記録は計画に活かされているか
関係者間で共有されているか 支援会議や連携先に説明できる内容か

 

 

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第9回就労支援雑学講座

皆さんこんにちは!
株式会社RELIFE、更新担当の中西です。

 

さて今回は

~アセスメント~

ということで、就労支援におけるアセスメントの意味・目的・手法・活用方法について、支援現場での実例を交えながら深く解説していきます。

 

本人理解から始まる「働く力」のサポート設計

就労支援の現場で最も大切なことは、支援を必要とする人一人ひとりの“働く力”を正しく理解することです。

そしてその出発点となるのがアセスメント(Assessment:評価・見立て)

「どんな支援をすればいいか?」を決めるためには、
「その人は今、何ができて、何が苦手で、どんなことに意欲があるのか?」という情報が必要不可欠です。


✅アセスメントとは何か?就労支援での位置づけ

アセスメントとは、対象者の状況・特性・課題・強みを客観的に把握し、支援計画の立案につなげるプロセスのことです。

◯ 就労支援におけるアセスメントの目的

  1. 本人の能力やスキルの現在地を知る

  2. 職業適性や働き方の希望を把握する

  3. 生活課題・健康状態・対人関係など、就労に影響する要素を明確化

  4. 支援内容や就労目標を、本人と共有・合意形成する

📌 つまりアセスメントとは、「就労支援のスタート地点を正確に地図に描く」作業だと言えます。


🧭 アセスメントが重要な理由5つ

✅ 1. 本人に合った支援設計ができる

  • 障がいや疾病による特性、過去の職歴、現在の生活状況を踏まえて、 → 無理のない「就労スモールステップ」を設定可能に

✅ 2. ミスマッチな就労を防ぐ

  • 「できること」と「やりたいこと」を混同すると、早期離職や自信喪失の原因に → アセスメントで現実的な可能性を冷静に見極めることが重要

✅ 3. 支援者間の共通理解が得られる

  • チーム支援の場合、アセスメント情報が「共通言語」となる → 福祉・医療・職業訓練・家族支援など多職種連携がスムーズに

✅ 4. 本人の自信や納得感につながる

  • 自分の強みや適性を知ることで、自己理解が深まり、意欲が高まる → 「就職したい気持ち」を「できそうな感覚」へと導く

✅ 5. 就労後の定着支援にも活きる

  • アセスメントで得た課題や配慮事項は、職場での支援にも活用可能 → 就職後の職場理解やサポート設計に役立つ


🛠主なアセスメント手法とツールの紹介

アセスメントには「面談」「観察」「記録」「検査」など複数の方法があります。
複数を組み合わせて行うことで、より立体的な理解が可能になります。

✅ 1. 面談・対話によるアセスメント

  • 職歴、成功体験、苦手な作業、人間関係、希望職種などをヒアリング

  • 傾聴+質問技法が重要(「なぜ?」より「どう感じましたか?」)

✅ 2. 作業評価(ワークサンプル)

  • 実際に軽作業・PC操作・事務タスクなどを行ってもらい、観察する

  • 注意力、集中持続、スピード、正確性、指示理解などを評価

✅ 3. 行動観察

  • 集団活動や訓練時の様子から、対人関係やストレス耐性を把握

  • 無言のサイン(表情・姿勢・疲労感)にも注目

✅ 4. 標準化された検査・ツール

ツール名 特徴
WAIS-IV、WISCなど 認知能力・処理速度などの知能検査
VRT(職業興味検査) 興味の方向性を把握(6領域)
SSTチェックリスト 対人スキルの強みと課題を明確化
職業準備性ピラミッド 働くための要素を5段階で整理

📌 検査ツールの結果は“その人を決めつけるものではない”という視点が重要です。


📝 アセスメント結果を支援にどう活かすか?

アセスメントで得た情報は、支援計画(個別支援計画書/就労プログラム設計)の軸になります。

✅ 活用の具体例

アセスメント結果 支援内容の設計例
疲れやすく集中が続かない 作業時間を短く・休憩を多めに設定
手先が器用・細かい作業が得意 軽作業・検品業務などへ誘導
コミュニケーションに不安あり SST(ソーシャルスキルトレーニング)を導入
職場体験で緊張が強かった スモールステップの実習から開始

📌 支援計画は「アセスメント→仮説→実践→再評価」のサイクルで改善していくことが重要です。


✅ アセスメントは「支援の道しるべ」

就労支援とは、“働く”という人生の大きな一歩をサポートする仕事。
その責任の重さと真剣さに応えるためには、一人ひとりを正確に理解する努力が必要です。

アセスメントはその第一歩であり、
支援の方向性を定め、本人の可能性を信じて伴走するための「道しるべ」となります。


📋 支援者向けアセスメントチェックポイント

項目 確認すべき視点
身体・精神状態 疾患・服薬・疲労感・通院状況
認知・スキル 作業能力、集中力、学習スタイル
生活状況 通勤手段、生活リズム、金銭管理
意欲・希望 働きたい理由、希望職種、働くイメージ
人間関係 家族との関係、支援者との信頼感

 

 

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第8回就労支援雑学講座

皆さんこんにちは!
株式会社RELIFE、更新担当の中西です。

 

さて今回は

~特徴~

ということで、就労継続支援B型作業所の特徴や、働き方のポイント、メリット・デメリットについて詳しく解説 していきます♪

 

障がいを持つ方の「働きたい」という気持ちを支援する制度の一つに、「就労継続支援B型」 があります。これは、一般企業で働くことが難しい方が、自分のペースで無理なく働ける福祉サービス です。

しかし、「A型との違いがよく分からない」「B型作業所ではどんな仕事ができるの?」と疑問を持つ方も多いのではないでしょうか?


1. 就労継続支援B型作業所とは?

① 就労継続支援B型とは?

就労継続支援B型は、障がいや病気の影響で、一般企業やA型事業所での雇用が難しい方を対象とした「働く場」を提供する福祉サービス です。

B型作業所では、雇用契約を結ばずに、比較的負担の少ない仕事を行うことができる のが特徴です。

② A型との違い

就労継続支援には、A型とB型の2種類 がありますが、B型は以下のような特徴があります。

  • 雇用契約がない(最低賃金の保証がない)
  • 働く時間や日数を自分の体調に合わせて調整できる
  • 仕事の難易度が比較的低く、誰でも取り組める作業が多い
  • 工賃(報酬)はA型に比べて低めだが、無理なく続けられる

B型は、「働く意欲はあるが、フルタイム勤務が難しい」「自分のペースで働きながら、生活リズムを整えたい」 という方に適しています。


2. B型作業所の対象者

B型作業所は、以下のような方が対象 になります。

障がいのある方(身体・精神・知的障がい、発達障がいなど)
病気や体調の影響で、長時間働くことが難しい方
一般企業やA型事業所での就労が難しい方
自分のペースで働きながら、徐々に社会復帰を目指したい方

特に、精神障がいや発達障がいを持つ方が多く利用 しており、「無理のない環境で、少しずつ社会復帰したい」という目的で利用するケースが増えています。


3. B型作業所の仕事内容

B型作業所では、比較的シンプルで負担の少ない仕事が多い です。

① 軽作業

  • 袋詰め・シール貼り(食品・雑貨などのパッケージ作業)
  • 組み立て作業(アクセサリー、簡単な機械部品など)
  • リサイクル業務(古紙やペットボトルの分別作業)

② 農業・園芸作業

  • 野菜の栽培や収穫
  • 花の育成や販売
  • 農作物の加工(ジャム作りなど)

③ 飲食・食品加工

  • パン・お菓子作り(店舗販売やイベント出店)
  • 弁当の調理・販売
  • カフェ運営(接客、ドリンク提供など)

④ クリーニング・清掃業務

  • 施設やオフィスの清掃
  • リネンサービス(タオル・シーツの洗濯など)

B型作業所では、「自分に合った仕事を選べる」ため、体調や特性に合わせて、無理なく働ける環境が整っています。


4. B型作業所での1日の流れ(例)

B型作業所では、利用者のペースに合わせたスケジュールが組まれています

〈ある1日の流れ(午前のみ勤務の場合)〉

  • 9:00 出勤・朝礼(体調確認・スケジュール確認)
  • 9:15 作業開始(軽作業・清掃・食品加工など)
  • 10:30 休憩(15分)
  • 10:45 作業再開
  • 12:00 作業終了・振り返り
  • 12:30 帰宅

午後の作業を希望する場合は、昼休憩を挟んで15:00~16:00頃まで働くことも可能 です。


5. B型作業所のメリット・デメリット

メリット

無理なく自分のペースで働ける

  • 週に1回・1日2時間から働くことも可能

体調管理がしやすい

  • 休みながらでも継続できるため、生活リズムを整えやすい

就職へのステップアップができる

  • 「まずは短時間勤務から」「社会復帰のリハビリとして」など、個々の目的に合わせて利用できる

福祉的なサポートが充実している

  • 生活相談や体調管理の支援を受けながら働ける

デメリット

収入が低い(工賃制)

  • A型のような雇用契約がなく、全国平均で月額約16,000円前後 の工賃が多い

スキルアップの機会が少ない場合がある

  • 仕事内容が単純作業中心になることが多く、技術習得の幅が狭い場合がある

就職に直結しにくい

  • 一般就労を目指している場合、A型の方がスムーズなこともある

6. B型作業所はどんな人に向いている?

B型作業所が向いている人の特徴は?

フルタイム勤務が難しく、短時間から働きたい
体調に波があり、自分のペースで仕事をしたい
一般企業での就職に不安があるが、社会と関わる機会が欲しい
いきなりA型や一般就労は厳しいので、ステップアップの場が欲しい

B型作業所は、「働くことを継続する」ことを目的としているため、収入よりも「無理なく続けられること」を重視する人に向いています。


7. まとめ:B型作業所で自分に合った働き方を見つけよう!

就労継続支援B型作業所は、働きたいけれど無理ができない人のための就労支援制度 です。

雇用契約なし・工賃制(自分のペースで働ける)
仕事内容は軽作業・農業・食品加工・清掃などが中心
就労へのステップアップや社会参加の場として活用できる

働くことに不安があるけれど、一歩踏み出したい」という方にとって、B型作業所は大きな支えになります。自分に合った環境を見つけ、無理のないペースで社会とのつながりを築いていきましょう!

 

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第7回就労支援雑学講座

皆さんこんにちは!
株式会社RELIFE、更新担当の中西です。

 

さて今回は

~A型とB型の違い~

ということで、就労継続支援A型とB型の違いについて、対象となる人や働き方の特徴、メリット・デメリットなどを詳しく解説 します♪

 

障がいを持つ方が社会で働くための支援制度の一つに、「就労継続支援事業」があります。この制度には**「A型」と「B型」の2種類** がありますが、どのような違いがあるのか分からない という方も多いのではないでしょうか?

就労継続支援A型とB型は、どちらも障がいのある方が働くための支援を行うものですが、雇用契約の有無や賃金体系、求められる働き方などに大きな違い があります。


1. 就労継続支援とは?A型・B型の違いを知る前に

就労継続支援とは、障がいのある方が働くことをサポートする福祉サービス の一つです。一般企業での就職が難しい方でも、「働く場」を提供し、スキルアップや社会参加の機会を得られるよう支援する ことを目的としています。

その中でも、「A型」と「B型」に分かれている理由は、人によって働く能力や状況が異なるため、適切な支援が受けられるようにするため です。

では、就労継続支援A型とB型には、具体的にどのような違いがあるのでしょうか?


2. 就労継続支援A型の特徴

① 雇用契約がある(最低賃金が保証される)

A型事業所では、利用者と事業所が雇用契約を結ぶ ため、働いた分の賃金が保証されます。基本的には最低賃金以上の給与が支払われる ため、一般的なアルバイトに近い形で働くことができます。

② 比較的安定した収入が得られる

毎月の給料が決まっており、シフト制で働くことが多いため、安定した収入を得られるのが特徴 です。障がい年金などと併用しながら生活している方も多いですが、「自分の収入で生活を支えたい」という方にも向いています。

③ 一般就労を目指すためのステップアップの場

A型は、「将来的に一般企業で働くことを目指している人」に向いています。事業所での業務を通じて、働くスキルを身につけたり、体力や精神的な安定を図ることができる ため、将来のステップアップの場として活用することができます。

④ 対象となる人

A型事業所は、比較的安定して働くことができる人向け です。
具体的には、以下のような方が対象となります。

  • 一般企業での就労経験があるが、障がいのために長く働くことが難しい人
  • 体調管理をしながら、ある程度の時間働くことができる人
  • 毎日決まった時間に出勤することができる人

⑤ 仕事内容の例

A型事業所では、比較的単純作業が多い ですが、以下のような仕事があります。

  • 軽作業(商品の袋詰め、シール貼り、検品作業など)
  • 食品加工(パン・お菓子の製造、弁当作りなど)
  • 清掃業務(オフィスや施設の掃除)
  • 農業(野菜の栽培や出荷作業)

3. 就労継続支援B型の特徴

① 雇用契約がない(工賃として支払われる)

B型事業所では、A型とは違い、雇用契約を結ばずに働く ため、最低賃金の保証はありません。働いた分の「工賃(報酬)」が支払われますが、A型よりも収入は低くなる傾向 があります。

② 自分のペースで働ける

B型の最大の特徴は、働く時間や日数を自分のペースで調整できること です。例えば、「週に2~3日、1日2~3時間だけ働く」ということも可能で、体調に合わせて無理なく働ける というメリットがあります。

③ 仕事の難易度が比較的低い

B型事業所の仕事は、単純作業が多く、長時間の集中を必要としない作業が中心 です。そのため、体調が安定しない方や、作業スピードに不安がある方でも安心して働ける 環境が整っています。

④ 対象となる人

B型事業所は、働くことに不安がある人や、フルタイムで働くことが難しい人向け です。

  • 一般就労やA型のような決まった労働時間が難しい人
  • 体力的・精神的にフルタイム勤務ができない人
  • 自分のペースで無理なく働きたい人

⑤ 仕事内容の例

B型事業所でもA型と同じような仕事がありますが、作業時間や内容がより簡単なものになることが多い です。

  • 手作業での軽作業(シール貼り、組み立て作業)
  • 手工芸(アクセサリー作り、陶芸、絵画)
  • リサイクル業務(ペットボトルの分別、古紙回収)
  • 農作業(畑の手入れや野菜の袋詰め)

4. A型とB型のどちらを選ぶべきか?

A型とB型、どちらが良いのかは自分の体調や働く目的によって異なります

✅ A型が向いている人

  • 決まった時間に働くことができる
  • 安定した収入を得たい
  • 将来的に一般就労を目指したい

✅ B型が向いている人

  • 体調に合わせて、無理なく働きたい
  • 短時間勤務や週数回の出勤で働きたい
  • 焦らずに自分のペースで仕事をしたい

5. まとめ:A型とB型の違いを理解し、自分に合った働き方を選ぼう

就労継続支援A型とB型は、どちらも障がいのある方の働く場を提供するものですが、以下のような違いがあります。

A型は「雇用契約あり」で、最低賃金が保証される → 安定した収入が得られる
B型は「雇用契約なし」で、工賃として報酬が支払われる → 自分のペースで働ける

自分の体調や生活スタイルに合わせて、どちらの働き方が向いているのかを考え、無理なく働ける環境を選ぶことが大切 です。就労継続支援の活用によって、自分に合った働き方を見つけ、より充実した生活を送ることを目指しましょう!

 

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第6回就労支援雑学講座

皆さんこんにちは!
株式会社RELIFE、更新担当の中西です。

 

本日は第6回就労支援雑学講座!

今回は、就労支援における日本の課題についてです

 

日本の就労支援は、厚生労働省が管轄する「公共職業安定所(ハローワーク)」を中心に運営されており、求職者に対する職業紹介、職業訓練、失業給付などのサービスを提供しています。また、障がい者や高齢者、女性、若年層など、それぞれの属性に応じた支援制度も存在します。しかし、近年の労働市場の変化に伴い、日本の就労支援にはさまざまな課題が浮き彫りになっています。


1. 日本の就労支援の現状

① ハローワークを中心とした支援体制

日本の就労支援は、全国に約500カ所あるハローワーク(公共職業安定所)が主軸となっています。ハローワークでは、以下のような支援が行われています。

  • 職業紹介:求人情報の提供、面接のセッティング、履歴書の書き方指導など。
  • 失業給付(雇用保険):失業者に対する一定期間の経済的支援。
  • 職業訓練(求職者支援制度):求職者が無料で受講できる職業訓練プログラム。
  • 就職相談・キャリアカウンセリング:適職診断やキャリアプランの提案。

このように、ハローワークは総合的な就労支援を提供する機関として機能しています。しかし、求職者と企業のミスマッチが多く、必ずしも希望する仕事に就けるとは限らないという問題も指摘されています。

② 若年層・中高年・女性・障がい者への支援

日本では、求職者の属性ごとに異なる支援制度が設けられています。

  • 若年層向け支援:「ジョブカフェ」や「ヤングハローワーク」が設置され、キャリア相談や企業とのマッチングが行われている。
  • 中高年向け支援:転職支援やシニア向けの再就職プログラムが存在するが、長年の雇用慣行が影響し、実際の転職は難しい状況。
  • 女性向け支援:「マザーズハローワーク」では、子育てと両立できる仕事探しを支援するが、女性の就業継続率は依然として低い。
  • 障がい者向け支援:「障害者雇用促進法」に基づき、一定割合の障がい者雇用を企業に義務付けるが、実際には雇用率未達の企業も多い。

このように、属性ごとの支援制度は整っているものの、現場レベルでは十分に機能していないケースもあり、課題が残っています。


2. 日本の就労支援における主な課題

① 雇用のミスマッチの解消が難しい

ハローワークには膨大な求人情報が集まっていますが、求職者のスキルや希望と一致しない求人も多く、「雇用のミスマッチ」が発生しています。特に、長期失業者や非正規労働者にとっては、スキルアップの機会が限られており、適職に就くことが困難です。

また、企業側も即戦力を求める傾向が強く、未経験者や中高年の再就職は難しいのが現状です。労働市場の変化に対し、求職者のスキルが追いついていないという問題が浮き彫りになっています。

② キャリア教育・職業訓練の不足

欧州のドイツや北欧諸国では、職業訓練制度(デュアルシステム)が充実しており、若年層が学校教育と企業研修を並行して受けることができます。しかし、日本では職業教育が十分に行われておらず、大学卒業後に初めて職業スキルを学ぶケースも多いです。

また、求職者支援制度による職業訓練はあるものの、受講者が限られており、再就職に直結しないことも課題となっています。特に、IT・デジタル技術の急速な進化に対し、リスキリング(新しいスキルの習得)の支援が遅れていることが問題視されています。

③ 非正規雇用の増加と労働環境の不安定化

日本では、1990年代以降、非正規雇用(派遣社員・契約社員・パート・アルバイト)が増加し、現在では労働者全体の約4割が非正規雇用者となっています。非正規労働者は、正社員と比較して賃金や福利厚生が劣ることが多く、長期的なキャリア形成が難しいのが現状です。

また、就労支援においても、非正規から正規雇用への転換を促進する制度はあるものの、企業側が積極的に活用しないケースが多く、十分な成果を上げていません。

④ 高齢者・障がい者の就労支援の課題

日本では高齢化が進み、65歳以上の就業者が増加しています。しかし、シニア向けの再就職支援は限定的であり、高齢者のスキルを活かせる職種が少ないことが問題です。

また、障がい者雇用は法定雇用率の引き上げが進められていますが、職場のバリアフリー化や合理的配慮の提供が不十分で、実際には働きにくい環境が残っています。


3. 日本の就労支援を改善するための提言

職業訓練とスキルアップ支援の充実
リスキリング(新しいスキルの習得)を支援し、ITやデジタル分野の訓練を強化することで、求職者の市場価値を向上させる。

企業と教育機関の連携強化
ドイツの「デュアルシステム」のように、企業と教育機関が協力して職業教育を実施し、実践的なスキルを身につける機会を提供する。

柔軟な働き方と正規雇用への転換支援
非正規雇用者が正社員に転換しやすい仕組みを強化し、テレワークや短時間勤務など、多様な働き方を推進する。

高齢者・障がい者の就労機会の拡大
企業のインセンティブ制度を強化し、高齢者や障がい者が長く働ける環境を整備する。


まとめ

日本の就労支援は、ハローワークを中心とした制度が整備されているものの、雇用のミスマッチや職業訓練の不足、非正規雇用の増加などの課題が残っています。今後は、スキルアップ支援の充実や企業と教育機関の連携強化、柔軟な働き方の推進が、より効果的な就労支援につながるでしょう。

 

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第5回就労支援雑学講座

皆さんこんにちは!
株式会社RELIFE、更新担当の中西です。

 

本日は第5回就労支援雑学講座!

今回は、就労支援における先進国と特徴についてです

 

就労支援は、失業者や障がい者、若年層、高齢者、移民など、労働市場で不利な立場にある人々を支援し、安定した雇用を確保するための重要な政策です。先進国では、それぞれの社会構造や経済状況に応じた独自の就労支援制度が確立されており、成功している国には共通する特徴があります。


1. 北欧諸国:手厚い社会保障と職業訓練制度

北欧諸国(スウェーデン、デンマーク、ノルウェー、フィンランド)は、手厚い社会福祉と労働市場政策のバランスが取れた就労支援を実施しています。「フレキシキュリティ(柔軟な雇用と手厚い保障の組み合わせ)」が特徴的で、失業しても再就職しやすい環境が整っています。

例えば、デンマークでは、失業者に対して高額な失業手当が支給される一方で、再就職支援のための職業訓練や教育プログラムが義務付けられています。労働者がスキルを磨きながら新たな仕事にスムーズに移行できるため、長期失業者が少ないのが特徴です。

スウェーデンでは、失業手当の受給者に対して個別のカウンセリングが行われ、適切な職業訓練やインターンシップの機会が提供されます。政府が労働市場の動向を細かく分析し、産業ごとの人材需要に応じた訓練プログラムを設計しているため、効果的な就労支援が可能になっています。


2. ドイツ:デュアルシステムと職業訓練の充実

ドイツの就労支援は、「デュアルシステム」と呼ばれる職業訓練制度が中心となっています。この制度では、若者が学校での理論教育と企業での実践的な研修を同時に受けることができ、卒業後には即戦力として働けるようになります。そのため、ドイツでは若年層の失業率が他の欧州諸国に比べて低いのが特徴です。

また、ドイツの就労支援機関である「連邦雇用庁」は、求職者に対して手厚いサポートを提供しています。例えば、長期失業者に対しては、企業と連携して再就職支援プログラムを提供し、必要なスキルを身につける機会を与えています。また、移民や難民のための職業訓練プログラムも充実しており、言語教育と専門技術の習得を同時に行えるようになっています。

ドイツの就労支援の成功の鍵は、「労働市場の需要に合ったスキル教育」と「企業と教育機関の緊密な連携」にあります。これにより、企業は即戦力の人材を確保でき、労働者は安定した雇用に就くことができるのです。


3. フランス:積極的な公共就労支援と社会的包摂

フランスでは、国の機関「Pôle emploi(ポール・アンプロワ)」が中心となり、求職者に対する包括的な支援を提供しています。この機関では、職業紹介、職業訓練、起業支援、生活サポートなど、幅広い支援が行われています。

フランスの特徴的な取り組みの一つが、若者向けの就労支援プログラム「保証青年制度(Garantie Jeunes)」です。これは、貧困層や教育を十分に受けられなかった若者に対して、職業訓練やインターンシップの機会を提供しながら、一定の生活費を支給する制度です。この制度により、社会的に弱い立場にある若者が安定した雇用に就くことを支援しています。

また、フランスでは、企業に対して障がい者雇用の義務化を行い、一定割合の障がい者を雇用しない企業には罰則を設ける制度を採用しています。このように、社会的包摂を重視した政策が、フランスの就労支援の特徴となっています。


4. アメリカ:市場主導の就労支援と個別対応

アメリカの就労支援は、政府の介入よりも市場のメカニズムを活用したアプローチが特徴です。公的な支援よりも、企業や民間機関が提供する就労支援プログラムが充実しており、特にテクノロジー分野においては、企業が主導するスキルアッププログラムが多く存在します。

例えば、大手IT企業が提供する「コーディングブートキャンプ」では、短期間でプログラミングスキルを習得し、即戦力として就職することが可能です。また、アメリカの一部州では、コミュニティカレッジと企業が連携し、特定の職種に特化した職業訓練を提供する制度が整っています。

ただし、アメリカでは社会保障が比較的薄いため、個人が積極的にスキルを磨き、就職活動を行う必要があります。そのため、自己責任の意識が強い一方で、適切な教育やネットワークがないと就労のハードルが高くなるという課題もあります。


5. 日本:公共職業安定所(ハローワーク)と企業の協力

日本の就労支援は、「公共職業安定所(ハローワーク)」を中心に展開され、求職者に対する職業紹介、職業訓練、失業給付などを提供しています。また、企業と連携した「トライアル雇用制度」や、高齢者・障がい者向けの就労支援も充実しています。

しかし、日本の就労支援には課題もあります。例えば、終身雇用や年功序列の文化が根強いため、転職市場が欧米ほど発達しておらず、一度離職すると再就職が難しくなることが指摘されています。そのため、近年ではキャリアチェンジ支援や、リスキリング(新しいスキルを学び直す制度)が注目されています。


まとめ:成功する就労支援の共通点と日本への示唆

各国の成功事例を見ると、「職業訓練の充実」「個別対応の強化」「企業との連携」「社会的包摂の重視」が、効果的な就労支援の鍵となっています。

日本においても、単なる職業紹介だけでなく、スキルアップ支援や企業とのマッチング強化、社会的に弱い立場の人々への支援拡充が、より包括的な就労支援の実現につながるでしょう。

 

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